コラム

Column

    福祉現場におけるPDCAサイクルの活用 継続的な改善で質の向上を

    福祉現場では、利用者の方々へのより良いサービス提供はもちろん、職員の働きがい向上も重要な課題です。
    これらの課題解決に役立つのが、「PDCAサイクル」という継続的な改善のためのフレームワークです。
    今回は、PDCAサイクルを福祉現場に取り入れる方法について、ご紹介します。

    PDCAサイクルは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の4つの段階を繰り返すことで、
    業務をより良くしていく考え方です。一つずつ見ていきましょう。

    1. PDCAとは?

    Plan(計画):目標を定め、道筋を描く
    Plan(計画)では、まず具体的な目標を設定します。「何を」「いつまでに」「どのように」行うのかを明確にすることが重要です。福祉現場における目標設定の例をいくつか挙げてみましょう。

    記録業務の効率化: 「記録業務にかかる時間を20%削減する
    利用者満足度の向上: 「利用者アンケートで『満足』と回答する割合を10%向上させる
    職員の研修受講率向上: 「研修の年間平均受講時間を5時間にする
    インシデント発生件数の削減:「ヒヤリハット事例報告件数を前年比15%削減する
    目標が決まったら、それを達成するための具体的な計画を立てます。例えば、「記録業務の時間を20%削減する」という目標であれば、「新しい記録システムを導入し、3ヶ月かけて職員研修を行う」「記録項目の見直しを行い、重複をなくす」といった計画を立てます。この際、誰が、いつまでに、何をするのかを具体的に落とし込むことで、実行段階での混乱を防ぎます。

    Do(実行):計画を実行に移す
    Do(実行)では、Plan(計画)で立てた計画に基づいて、実際に業務を行います。計画通りに進んでいるか、問題点はないかを常に意識しながら進めることが大切です。上記の例であれば、新しい記録システムを導入し、計画に基づいて職員研修を実施します。研修後も、システムが正しく活用されているか、現場の意見を収集しながら進めていきます。

    Check(評価):効果を測定し、課題を見つける
    Check(評価)では、実行した結果を客観的に評価します。目標に対してどれくらい達成できたのか、計画通りに進まなかった点はどこかを分析します。データや客観的な指標を用いることが重要です。

    記録業務の効率化の例: 実際に記録業務にかかった時間を測定し、20%削減できたかどうかを評価します。システム導入によって他に影響はなかったか(例えば、入力ミスが増えたなど)も確認します。
    利用者満足度の向上例: アンケート結果を分析し、「満足」と回答した割合が10%向上したかどうかを評価します。自由記述欄の意見も参考に、具体的な改善点を探ります。
    Action(改善):改善策を実行し、次につなげる
    Action(改善)では、Check(評価)で得られた結果に基づいて、改善策を検討し、実行します。うまくいった点は維持し、うまくいかなかった点は原因を分析して改善策を立てます。
    そして、改善策を反映した新しい計画を立て、再びDo(実行)に移ります。

    例えば、記録業務の削減目標が20%に達していなかった場合、原因を分析します。
    研修内容が不十分だった、システムの操作に慣れていない職員がいた、などが考えられます。
    それらの原因に対して、「研修内容の見直し」「個別指導の実施」「システムのマニュアル作成」などの改善策を実行します。
    そして、改善策を反映した新しい計画を立て、再びDo(実行)に移ります。

    2. PDCAサイクルを回すメリット

    PDCAサイクルを継続的に回すことで、以下のようなメリットが生まれます。

    目標達成への道筋が明確になる
    継続的な改善が可能になる
    問題点の早期発見につながる
    職員の意識向上
    PDCAサイクルは、福祉現場における様々な課題解決に役立つ汎用性の高いフレームワークです。ぜひ、日々の業務に取り入れて、継続的な改善と質の向上を目指してください。

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